薬膳料理の特徴ってなあに?
「治未病」は、病気になってから治療法を講ずるのではなく、まだ病にならないうちに予防するという意味です。そもそも病の種をからだに作らないという意味では、中医学は、最も早く予防医学に着目していたのです。
中国の西周の時代(紀元前1,066年~771年)には、食医という高い立場の食事担当の医者がいて、皇帝と貴族の飲食の管理を任されていたほどでした。食事がどれほど病気の予防に役立てられたかということが分かります。
今までのように病気になってから薬を慌てて飲むよりも、病気になる前のちょっと気になる不調が出てきた段階で食事で病気にならないように予防すること。薬膳料理は食材をお薬にして良く体を癒す食事と言えるのです。
薬膳料理は、どんな体調不良にも良いの?
今の医学だと、同じ人でも体調の悩みの種類が違うと別の病院を受診します。薬膳は、同じ人ならたとえ違う体調の悩みでも、病気を診ずに、その病気を生んだ体質を診ていくので、体質を整えれば自然と悩みも順々に消えてしまうことさえありえるのです。
薬膳料理は、どんな食材を使うの?
薬膳料理に使う調味料は、醤油、塩、砂糖、みりん、コンソメスープ、中華調味料などごく一般的なものを使い、特別な調味料も必要がなく、気軽に摂り入れられるお料理です。
また、特別に料理の技術がなくても、普通に誰もが冷蔵庫に入れてある食材で作れるため、美味しく食べられて体にもこころにもとっても優しいお料理です。
体質別のやさしい薬膳料理
ここでは、8つの体質別の薬膳料理をご紹介します。
【陽虚体質 ようきょ】
からだの陽気が不足し、冷えの症状が出ているタイプ
よくある症状:むくみ、冷え、頻尿、腰痛、下痢、不妊症など
紅茶とシナモンのチャイ
【食材】 紅茶 牛乳 シナモン クローブ
【はたらき】 紅茶など食材のからだを温める作用で、冷えを和らげます。
【作り方】 鍋に紅茶の茶葉、シナモン(ステイック)、クローブ(スパイス)を入れ沸騰後2、3分弱火で煮だす。材料を濾し、牛乳、砂糖を入れる。
【気虚体質 ききょ】
からだのエネルギーの気が不足し虚弱な症状がみられるタイプ
よくある症状:声が小さい、疲れやすい、めまい、風邪をひきやすい、手足の冷え
献立 栗とカリフラワーのスープ
【食材】 カリフラワー、栗、牛乳
【はたらき】 気を補いからだを温めます。
【作り方】 栗を湯がき中身を取りだし、カリフラワーは蒸す。栗とカリフラワーは攪拌し、牛乳を入れる。
【血虚体質 けっきょ】
からだの血が不足しているタイプ
よくある症状:眠れない、夢が多い、生理の量が少ない、めまい、手足が冷たいなど。
献立 にんじんと落花生のごはん
【食材】 米、にんじん、落花生、ひじき
【はたらき】 不足する血を補います。
【作り方】 炊飯器に米、にんじん、細かく砕いた落花生、戻したひじきを入れて炊く。
【陰虚体質 いんきょ】
からだの正常な水分が不足するタイプ
よくある症状:のぼせ、ほてり、のどが渇く、汗が出やすい、顔に赤味が出やすいなど
献立 黒豆とゆり根のごはん
【食材】 米、黒豆、ゆり根
【はたらき】 不足するからだの水分を補います
【作り方】 炊飯器でお米、黒豆の水煮、ゆり根を入れ炊く。
【気滞体質 きたい】
からだを巡る気が停滞しているタイプ
よくある症状:鬱っぽい、ため息、ガス、ゲップが出やすい、イライラしやすいなど
献立 ジャスミンといちじくのお茶
【食材】 紅茶、ジャスミン(花)、いちじく
【はたらき】 気の巡りを良くします
【作り方】 紅茶、ジャスミンを入れ沸騰したお湯を注ぎ5分蒸らして、いちじくを入れる。
【血瘀体質 けつお】
血が停滞しているタイプ
よくある症状:肩こり、生理痛、足の痛み、経血が黒い、経血に塊があるなど
献立 にんじんとじゃがいものスープ
【食材】 にんじん、じゃがいも、牛乳、すだち
【はたらき】 気の巡りを良くします。
【作り方】 にんじんとじゃがいもを柔らかく蒸し攪拌し牛乳を入れ、すだちの輪切り、砕いた落花生をのせる。
【痰湿体質 たんしつ】
水分が停滞しているタイプ
よくある症状:頭が重い、むくみ、お腹がスッキリしない、ごくごく水分を飲めない、めまいなど
献立 大豆とセロリのスープ
【食材】 大豆、セロリ、じゃがいも、豆乳
【はたらき】 停滞する水分を巡らします
【作り方】 大豆とセロリ、しゃがいもを柔らかく蒸して攪拌し、牛乳を加える。
【陽盛体質 ようせい】
熱が過剰なタイプ
よくある症状:冷たいものを好む、口が渇く、呼吸が荒い、顔が赤い、ニキビができやすいなど
献立 うりと冬瓜のスープ
【食材】 うり、冬瓜、みかんの皮
【はたらき】 過剰な熱を冷まします
【作り方】 うりと冬瓜を柔らかく炊き攪拌し、みかんの皮を加えます。